逮捕された兄の代わりに、
東京の汚いアパートの退去作業をしていると、
重要と記載された特定記録郵便が見つかる。
区民部収納推進課 徴収計画係。
差出人は東京都北区、税金の督促状だ。
兄の面会で話を聞くと、
もう何年も税金も保険料を払っていないという事。
借金ではないからと、本人は悪びれた様子も無い。
借金よりも怖い税金ということを知らない兄。
無知は諸悪の根源である。
税金滞納で、支払わなければならない金額と、
これから考え得るリスクを想定してみたいと思う。
生きているだけで払わなければならない税金と保険料。
日本で生活する上で、
必ず支払わなければいけないのが、税金と保険料です。
いくらニートでフリーターだからといって、
払ってないのは非常に不味い。
アルバイトでも税金、保険料の納付義務が発生します。
生きる上で払うべき保険料と税金
- 所得税:アルバイトも源泉徴収。給与支払い時に引かれてる。
- 住民税:アルバイトの場合は、普通徴収で後払い。前年所得より算出。
- 健康保険:アルバイトの場合は、国民健康保険。前年所得より算出。
- 年金:アルバイトの場合は、国民年金保険。加入者は一律の金額。
所得税は所得に対して課せられる税金。
基本的には給与を支払う側が、源泉徴収するので、
兄のように支払う意志が無くとも、給与を貰う時点で強制的に徴収されている。
滞納しようと思っても不可能なので、問題無いハズ。
兄の給与明細を調べたところ、しっかりと天引き済みでした。
住民税も所得に課せられる税金だが、
アルバイトの場合は、給与天引きの特別徴収では無く、
普通徴収とする企業が多い。勝手に払ってねってやつ。
いずれにせよ、住民税は前年の所得に対して課税される。
振込用紙で支払う。本人の意志に委ねられる。
翌年の忘れた頃にやってくる。後払いなのが痛い。
そして、パートやアルバイトで一番困るのが、保険料。
健康保険と年金保険。
アルバイトでは社会保険に加入しない場合も多いので、
国民健康保険と国民年金保険に加入することになる。
半額負担の社保に比べると高額で、
低所得の兄にも負担が大きい。
国民健康保険は国民年金保険ともに、
基本的には無職の無収入でも支払義務が発生し、
払わなければならない。
国保・年金の保険よりも、
住民税という税金の方が厳しいイメージ。
税金の未払いは、借金よりも怖い。
自己破産しても滞納した税金は払わなければならないのだ。
そういえば国民3大義務って、
勤労の義務、納税の義務、教育を受けさせる義務だったね。
兄は勤労の義務も怠り、
犯罪を犯し、納税もしていなかった。
非常に痛い話です。
住民税の計算方法。前年の所得に対して課税される。
住民税の計算。前年の所得に対して課税されるという事。
前年度の所得によって計算されます。
兄の場合、給与明細から把握できる基本給は、
月額12万~13万円。
12.5×12カ月で年収にすると約150万円。
給与所得控除65万円と、住民税の非課税限度額35万円。
65+35=100万円の壁は超えているから、住民税の課税対象。
※非課税限度額は自治体により異なる。
年金も保険料も一切払ってないので、控除も無し。
年収150万円-控除100万円→課税所得50万円
住民税の税率は一律10%(都民税4%、区市町村税6%)だから、所得割は年間約5万円。
均等割額は年間5,000円といったところ。
1年で住民税5万~6万円の滞納か。
(1) 所得割額
(前年の総所得金額等-所得控除額)× 税率 - 税額控除額
(2) 均等割額
都民税額(1,500円)+区市町村民税額(3,500円)
平成26年度から平成35年度までの間、地方自治体の防災対策に充てるため、均等割額は都民税・区市町村民税それぞれ500円が加算されています。
(3) 利子割額
利子所得等については、一律5%の分離課税となります。
(4) 配当割額
特定配当等の額×5%
(5) 株式等譲渡所得割額
源泉徴収選択口座内における上場株式等の譲渡による所得×5%
住民税は、前年の所得に対して課税され、
所得税は103万円の壁で、住民税は100万円の壁。
住民税の均等割は、収入関係無しに一律で取られるので、
年収100万未満でも納税の義務が発生する。
東京23区内の場合は、年収35万以下で均等割も非課税となります。
前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方
〈東京23区内の場合〉控除対象配偶者及び扶養親族がいない場合:35万円以下
無職や刑務所に入った場合は、
年収35万未満となるので、翌年度以降は払う必要が無くなる。
しかしながら、今までの延滞金は増え続ける。
住民税の滞納すると差し押さえ。延滞金は非常に高金利。
年間5万円という事は、2~3年滞納した場合、
合計10~15万円か。
意外となんとかなるかも・・・と思っていた私。
税金の差し押さえ請求書を見て、
20万円超えの金額に驚きました。
未納期間が明記されていないので、
支払ってない期間は分からないのですが・・・
税金未納による延滞金。住民税延滞金利は高いです。
住民税延滞金利は非常に高く、年間14.6%。
※最初の1カ月は年7.3%の割合。
消費者金融の金利でも最大18%なので・・・
それなりの高金利です。
延滞金
納期限の翌日から一月を経過する日までの期間(年7.3%の割合の延滞金)は、特例基準割合(※)に年1%を加算した割合となります。
納期限の翌日から一月を経過した日から納付の日までの期間(年14.6%の割合の延滞金)は、特例基準割合(※)に年7.3%を加算した割合となります。
年利14.6%として、ザックリと延滞金を推測してみる。
住民税を3年間未納した場合の延滞金(年利14.6%計算)
- 1年目5万円 → 延滞金7300円
- 2年目5万+5万円+7300円 → 延滞金15666円
- 3年目5万+5万円+5万円+15666円 → 延滞金25253円
3年間の延滞金たけで、7300円+15666円+25253円=48219円となり、
最終的に支払う金額は、5万円×3年+延滞金48219円=198219円。
既に20万円を超えているという事は、
恐らく3年半くらい滞納しているんだろう。
未納を続ければ、延滞金の方が高くなるっていうのも納得です。
そもそもなんで、財産差し押さえまで発展してんのよ?
って思ったんだけど、よっぽど悪質な場合は、
財産調査までされて、強制的に財産差し押さえできるんだと。
催告書 → 督促状 → 財産調査 → 財産の差し押さえという流れ。
滞納処分(差押さしおさえ等)
区では納税者の自主的な納付をお願いしていますが、納付していただけない場合、税負担の公平性を保つため、「地方税法」や「国税徴収法」などの規定に基づき、所有財産調査(預金・生命保険・不動産の所有状況・勤務先への給与支給状況など)を実施します。財産調査の結果、支払能力があるにもかかわらず納付されない場合は、差押等の処分を行い、未納分の税に充あてさせていただきます。差し押えた物件については、区ではインターネットを利用して、公売を行っています。
兄の銀行口座も、勝手に口座残高から徴収されてました。
残高不足の為、徴収されてたのは数十円だけですが、
残高ゼロになってました。
お金無くても、差し押さえは執行されるんだね。
延滞金の判断って、役所にもよるらしいです。
少しでも返済の意思を見せていれば、滞納処分まで発展しない。
私の兄は、ひたすら無視した為、口座差し押さえって流れかと。
住民税に時効は無い。住所変更しても意味も無い。
住民税に限らず、税金には5年という時効が有るが、
差し押さえ請求されている限り、時効は中断されるという事。
という事で、滞納金に時効は無いと理解した。
兄の場合、現在のアパートからも退去しなければならず、
他県に移ることになるのですが、
住民税未納のままでも転居手続きは可能との事。
しかしながら、転居したからと言って、
未納が無くなるかと言えば、そんなわけも無く、
引越先に督促状が届き続けるのです。
国民健康保険料の計算方法。無職でも保険料は発生する。
国民健康保険料は住んでいる自治体により、金額は大きく異なる。
兄が住んでいた東京都北区の国民保険料は比較的安い。
税込年収150万円くらいと思われた兄の納入通知書。
年間46,200円の請求って、所得割額が含まれない金額って事は、最低金額の負担・・・前年の年収は150万も行ってなかったのか?謎だ。
40歳未満で、介護分の負担が無いので、
均等割額は、医療費分35400円+支援分10800円=合計46,200円。
月額換算すると3,850円。
低所得者の保険料は、こんなにも安いのか。
国民健康保険料は住民税とは違い、
無職でも支払の義務が有るので、
今後、生きている限りは無収入でも発生してしまう。
国民保険料の滞納で保険証の失効。失効しても支払い義務は継続する。
日本国では健康保険に加入する事も義務であり、
社会保険に加入できない兄が、
国民健康保険料を未納というのも非常に不味い。
国民保険料は滞納すると、催告書、督促状が届き、
それでも未納が続くと、
保険証の有効期限が短い「短期証(短期被保険者証)」へ。
更に滞納が続けば、短期証も無効となり、医療費を全額負担(10割負担)しなければならなくなります。
医療費負担額が増えるだけ、
病気にならなければ良いという訳ではなく、
保険証が失効しても、保険料の支払い義務は無くならず、
未納額は毎年どんどん増えていきます。
税金の滞納同様に、無視し続ければ滞納処分となり、
延滞金も発生し続けます。
税金同様に払わなければ差し押さえ。借金よりも怖いですね。
国民健康保険料の時効と延滞金。
国民健康保険にも一応時効は有るが、
現在では税金(地方税)扱いとする「国民健康保険税」の自治体が多く、時効も5年になっている。
従来の国民健康保険組合が管理する場合は、国民健康保険料となり時効は2年。
時効が有るとはいえ、
督促状が来ている限りは時効が伸びるのは税金と一緒。
日本に住み続ける限りは、時効という甘い考えは捨てた方が良いのだろう。
延滞金の算出方法や、
考え方は自治体によっても異なるみたいですが、
国民健康保険税の延滞金は税金扱いなので、
年利14.6%と税金延滞金と同じく高金利な自治体が多い。
払わない期間が長くなればなるほど、
延滞金も高くなっていくというわけです。
国民健康保険料の低所得による減額について。軽減と減免。
国民健康保険料の減免は、
市区町村ごとの条例により定められている。
減免を受ける為には、
まず住んでいる市区町村役場で相談、申請しなければなりません。
兄の住んでいた東京都北区では、
保険料の軽減が可能で、
所得に応じて2割~7割も軽減可能でした。
生活状況による保険料の減免制度も有り、
やむを得ない事情が有る場合は相談した方が良さそうですね。
いずれにせよ、今まで兄が払わなかった理由には当てはまらないから。
今後、無職並に所得が少ないなら、
保険料の軽減はする事も可能かもしれない。
国民健康保険被保険証の有効期限から未納期間を推測。
兄が国民健康保険料を未納なのは間違いないのですが、
ゴミ屋敷と化したアパートで、
国保の督促状までは見当たらない。
国民健康保険被保険者証の有効期限は、
平成26年3月31日まで。
現在は平成28年7月末。
既に有効期限が切れて、2年以上経過しようとしている。
国民健康保険料の未納が続くと、
納付の催促とともに、
有効期限が数か月の保険証となるのは、上述のとおり。
兄の財布を見ると、
交付年月日が平成25年9月19日、
有効期限が平成26年3月31日。
半年間のみ有効の保険証・・・
これが「短期被保険者証」なのか?
短期被保険者証の交付は、
保険料の滞納が6ヶ月以上1年未満が通常なので、
これが交付された時点で、
既に半年以上の未納があるという推測になる。
という事は、既に3年は保険料を未納という事だ。
住民税未納と同じタイミングか。
既に有効期限は切れているので、
医療費は3割負担では無く全額負担。
これでは精神病の治療もできやしない。
国民健康保険は未納でも、社会保険の扶養には入れる。
私の母は65歳を超えた今も働いており、
社会保険で健康保険に加入している。
未納期間があるままでも、
家族の社会保険の扶養に入れることは可能らしい。
国民健康保険と社会保険の健康保険は管轄は別。
就職して、社会保険で健康保険に加入する場合も、
国民健康保険の未納分は関係無く、保険証は発行できる。
扶養に入る条件は、収入要件と同一世帯の条件が有る。
収入要件は、年間収入130万円未満で、
扶養者の収入の半分未満ってのは、
ほぼニートが前提となってしまうかな。
いずれにせよ、国民健康保険の未納分は消えるわけでは無く、
払わなければイケない金額は残り続け、
延滞金が増え続けるのは変わりない。
国民年金保険料は低所得者に高額。免除の敷居も低い。
国民健康保険料を払っていない兄が、
国民年金保険料を払っている理由も無い。
国民保険料は所得関係無しで、
加入者全員一律の金額なので、
低所得者でも負担金額は大きくなる。
最低でも3年は払っていないと思われるが・・・
1年未納でも20万円。
国民年金保険料って、年々高額になっているではないか。
国民年金保険料の推移
- 2013年度:年額180480円
- 2014年度:年額183000円
- 2015年度:年額187080円
- 2016年度:年額195120円
その金額は低所得者にとって、非常に高額なので、
払えないなら、事前に免除・納付猶予の手続きをすべき。
免除の敷居も低く、免除でも少しは年金額に反映されるので、
低所得なるなら、絶対に手続きをしておいた方が良い。
ニート年収の兄なら、半額免除、
4分の1くらいは免除となる可能性は高いです。
国民年金未納なら、将
来的に貰える年金額は減るだけだと思ってましたが、
未納者が多い昨今、年金の徴収制度は厳しくなり、
最悪差し押さえで発展します。
国民年金保険料の未納。所得300万円以上は督促状。
国民年金は、2年経過した時点で払えなくなる仕組みであり、
大した罰則も有りませんでしたが・・・
今では未納が続くと、督促状が送られてくるケースも多いようです。
払えないなら、払わないし、貰わないというのが通用しなくなってます。
基本的には2年以上は払えないけど、
督促状が届くと時効は中断する。
という事で、
現在は、国民年金の徴収も厳しくなってきています。
ただ現時点では、税金や国民健康保険に比べると、まだまだ甘いイメージ。
優先順位は、住民税>国民健康保険>国民年金保険といったところか。
現状、年金保険未納で督促状が送られてくるケースは、
所得額で判断しているらしく、
2016年現在の、国民年金保険料の強制徴収の対象は、
年間所得350万以上で未納7カ月以上の滞納者との事。
2017年度より、更に厳しくなり、
年間所得300万円以上で未納13カ月以上が対象となる予定。
今後は、国民年金保険料の滞納にも風当たりは強くなる傾向にある。
もちろん自治体にも依るだろうが、
低所得者のところまで、取り立てにくるといった事は無い。
滞納だらけの兄には、とりあえず関係無しである事を祈りたい。老後よりも、今ですら生きていけないのだから。
コメント
生きるだけでこんな金額かかるんだ
自殺する人が増えるわけだ
予備軍